画期的コンポスターの制作②
皆さんこんにちは。
コロッケは庶民の味方
突然ですが、『チコちゃんに叱られる!』という番組を皆さんはご存知ですか?
ナインティナインの岡村隆史さんと、チコちゃんという、毒舌キャラのMCの番組で、話題性があり、観ている方も多いと思いますが、実は私は最近まで見たことがなかったんです。
というのも、MCのチコちゃんの言葉遣いの悪さを前情報として知っており『これは子供に悪影響だなぁ』と思い、一緒には見たくなかったからです。
しかし、先日珍しく一人でテレビを見る機会があったので興味本位で見てみたところ、やはり気になる所はあったものの、やはり話題になるだけのしっかりとした内容のある番組なのだなぁと思いました。
その時に番組で紹介されていた『へぇー』と思ったエピソードが、『お肉屋さんでコロッケが売られているのはなぜか?』→『元洋食屋のコックが肉屋に転職して、作り始めたから』というものでした。
ざっくり言うと、
①元々洋食屋として働いていた阿部清六というコックさんが、当時高級品だったクリームコロッケに近い美味しさを『お店に来る庶民の子供達にも食べさせてあげたい』と、ジャガイモで代用したコロッケを開発
②そのお店が関東大震災で被災、転職を余儀なくされ、復興が早かった肉屋として働き始める
③そんな中でも生涯『コック魂』は捨てずに、肉屋として働きながらじゃがいものコロッケを並行して店頭で売り続けた
これが現在もお肉屋でコロッケを売っているきっかけだそうです。(当時はコロッケ以外にも色々作っていたそうですよ。)
ですが、きっかけは良いとして、
なぜ、どこのお肉屋さんでもじゃがいもコロッケが売られるようになったのでしょうか?
このお話の素晴らしい所だと思うのですが、阿部さんは人気になったじゃがいもコロッケのレシピを、他の肉屋さん達に快く提供し、どんどん広めていったからなんです。
恐らくこのアイディアの公開・共有が、
日本のコロッケの認識を
・高級品で庶民には手の出ない食べ物
から
・子供も食べられる、安くて美味しい食べ物
に変えた、直接の理由だったのだと思います。
『皆にとって良いアイディア』は広めていく、そしてそれが、より良い未来の日常になっていく、素晴らしいことですね。
今や、お肉屋さんで、ジャガイモのコロッケが売られているのは、完全に『日常』になっていますが、その日常は阿部さんのような偉大な先人の功績があっての事だった、と知ることができて、今回番組を観れて良かったことだと思います。
(でも私はチコちゃんのキャラと、そのキャラを持ち上げるスタジオの雰囲気も好きになれそうないですが…)
本題。
さて、前置きが長くなりましたが、前回に引き続きコンポスターのお話を。
我が家の求めるコンポスターの理想像はこんな感じです。
・お金はかけたくない(ランニングコスト含めて)
だって、もう家で使っちゃったもん…
・端材で自作したい
ログハウスの建材の余りがめちゃくちゃ大量にあるので…
柵もいつぞや自作しました。
・虫を集めないようにしたい!
目の前が緑地なもので…いざ家に入りだしたら大変だ!
そんな希望を抱きつつ、ネットの大海原を漂流した結果、数多ある方式のコンポスターの中から、流れ着いて出会ったのが、こちら。
『キエーロ』です!
(正式名称・バクテリアdeキエーロ)
なんともキャッチーでわかりやすい御名前の通り、作り方も至ってシンプル。
でもこの発想が今までのコンポスターになかったのです!
キエーロとは?
以下公式サイトより転載
『バクテリアdeキエーロは、毎日出る生ごみをなんとかおうちで処理できないものかといろいろな方法や機械を試しつづけた葉山にお住まいの夫妻が十年かけてたどり着いた最後の形。
それは、土と太陽と風の力を借りて生ごみを分解するといういたってシンプルな方法でした。
燃えるごみの多くを占める生ごみは実は燃えないために石油をかけて燃やしています。また、嫌なにおいやハエを呼んでしまうこともしばしば。そんなやっかいな生ごみから土の力に感嘆し自然の力を肌で感じることができるなんてなんだか新しい体験そして、キエーロ仲間が集まれば生ごみから始まる楽しいお話が生まれます。
夫婦の会話もそのひとつ。こんな楽しいことを、もっと多くの人に伝えたい。キエーロの魅力に惹かれ集まった有志が活動をしています。』
キエーロは、黒土を主にした、土に生ゴミを入れて、土中の微生物によって、分解する方式のコンポスターです。土中に直接埋め込むタイプと、脚付でベランダなど地面が無くても設置できる『ベランダdeキエーロ』が有ります。
我が家は庭もありますし、処理能力を優先して、土中に埋め込む『バクテリアdeキエーロ」を選択しました。
キエーロの特徴としては、光を通す屋根材を取り付けつつ、風が通る通気口を兼ねた形状をしている点です。
結果どうなるかというと
・光を通す
→陽の光で土中は温まる
→発酵・分解を促進
・屋根、通気
→生ゴミの入った土は濡らさない
→腐敗臭を防ぐ
→虫を呼ばない
つまりこういうこと。考案者の松本さんのサイトにある、このイラストがとてもわかりやすいですね。
使い方
以下サイトより、イラスト含め転載
1 20cmくらいの穴を掘り、生ごみを入れる。穴が浅いと、生ごみの臭いがしたり、虫が寄ってくる原因となります。移殖ごてなど小さなスコップよりも、大きめのシャベルを使用することをお薦めします。
2 生ごみと土をよく混ぜる。
土と触れ合うことで生ごみの分解が進みます。土と見分けがつかなくなるまでよく混ぜる。 大きいものは、このときにシャベルで砕いてもよいでしょう。この作業が一番重要です。
3 乾いた土をかぶせる
表面の土が乾いていることで、臭いを防止し、虫の発生を防ぎます。
+α前回埋めた場所も空気を入れるようにして混ぜると分解が早くなります。
<分解するまで>
分解に夏場は5日、冬場は2週間ほどかかります。埋める場所を順番に変えて使います。
生ゴミは3~4日貯めて埋めるようにすると、場所をうまく使うことができます。ステンレス製のフタ付き容器がお薦めです。
*魚など臭いが気になるものはすぐに埋めても構いません。
ちなみに我が家の様子
我が家のキッチンにはこんな感じで置いてます。密閉性に優れているので、蓋を開けない限り本当に匂いません。
<分解できる生ゴミ>
太い骨、貝殻、大きな種(桃など)以外の食べ物はすべて埋めることができます。生ゴミの種類によって分解にかかる時間に差があります。
早いもの:残飯、肉、魚類
遅いもの:根菜類、とうもろこしや枝豆など
キエーロも庶民の味方
さて、文頭で、じゃがいもコロッケの広まりの話をしました。
キエーロ考案者の松本信夫さんも、『バクテリアdeキエーロ』と『ベランダdeキエーロ』を実用新案登録されていますが、阿部コックの様に「ビジネスとして利益を追求されない場合、自由に制作して広めてくださって構いません」と、その素晴らしいアイディアを公開・共有してくださっています。
今回も、このブログにてキエーロをご紹介させて頂きたいとメールにてお申し出したところ、『サイト内のイラストも文も、好きに使って頂いて構いませんよ』とご快諾を頂きました。
この場を借りて御礼申し上げます。
元は全日空のパイロットとして働かれていたという松本さんですが、(お会いした事は有りませんが)その眼差しは、きっと広く世界を見据えておられるのだろうなぁ、と思いました。
最後に
キエーロを直接買いたいという場合には、2020年2月現在、消費税増税に伴う値上げのお知らせ、そして全国発送中止のお知らせが最後の更新になっており、詳細がどうなっているかわかりませんが、松本さんに直接ご相談頂くか、お住いの自治体で、キエーロのキット販売をしていないか『自治体名+キエーロ』で検索されると、かなりの確率でヒットします。
しかもキエーロは買う場合、補助金制度が利用できることが大半です。(我が家は自作したので関係有りませんでしたが…)
キエーロは知る人ぞ知る、既にメジャーになっているコンポスターなのです。
私の実家もちゃっかりキエーロ普及の波に乗っていました。
作り方の詳細なレポート(製作時間目安まで!)まとめている自治体もあり、各地の環境課の仕事ぶりが、いかんなく発揮されています。
https://www.city.kamiamakusa.kumamoto.jp/dl?q=11000_filelib_0494dfccc90d7fa0bca5c7a2f764cdc5.pdf
なんでも、松本さんがお住いの神奈川県葉山町では、何年も前から多くのご家庭で利用されており、その影響で、燃えるゴミの排出量が3割も現象したとか…!近隣の鎌倉市では、キエーロに関して購入代金の9割の補助金が出ているというのだから、これは市政も全力で推薦しているのが伝わりますね。
キエーロで、生ゴミの自家処理をする、ということが『日常』になっている地域が既に沢山あるということを知った時、私は驚きました。そして、大学時代に読んだ、ヴィクター・パパネック氏の『生きのびる為のデザイン』という本を思い出しました。
『よくデザインされたものはたくさんある。だが、デザインの悪いものはそれよりもはるかに多い。そして、まだ全然デザインの対象にされていないものは、本当に驚くほどたくさんある。』
これからの日常に、キエーロという画期的なコンポスターで、素敵な変化を起こしてくださった松本さんを、心から尊敬します。
ご興味ある方は、是非キエーロで、生ゴミの自家処理生活、始めてみてはいかがでしょうか?自然の循環が感じられますよ。
次回は、我が家とキエーロの日常編でこのシリーズはおしまいになります。